家族の介護で離職しないために
介護をしながら働いている人が年々増加しています。総務省統計局の調査によると、年齢階級別で最も高い割合は、男性は「50~54歳」で88.5%、女性は「50~54歳」で71.8%を占めているようです。
人口ピラミッドの令和2(2020)年で人口が多いのは、65歳~74歳。これから介護が必要なタイミングに向かっていきます。その人たちを主に支えるのは、30代40代。
出産や育児に関する制度は子供の年齢に合わせて設計されているため、産休・育休・職場復帰のプランがある程度立てやすいかと思います。一方、介護については、ケースバイケースかつ介護に必要な期間も予測し難い。個人としてはキャリアプランや人生設計、会社としては労働力の確保など影響が大きいですね。
いざという時のために、今回は介護休業について確認しておきましょう。
介護休業とは
労働者が要介護状態(負傷、疾病、または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。
※一定期間の休業ではなく、介護をしながら働き続けることができる介護『休暇』という制度もあります。要介護状態にある対象家族の介護や世話を行う労働者に対し与えられる休暇で、年次有給休暇とは別に与えられるものです。通院の付添いやケアマネジャーなどの短時間の打合せなどに利用でき、1年度において5日(その介護、世話をする対象家族が2人以上の場合にあっては、10日)を限度として取得することができます。
介護休業給付金とは
雇用保険の被保険者で介護休業期間中の賃金が休業開始時の賃金と比べ 80%未満に低下した等一定の要件を満たした場合に、一般的な目安として休業開始時賃金月額の67%程度の介護休業給付金が支給されます。実際には、休業開始時賃金月額証明書をもとにハローワークで算出されますので、お手続きの際にご確認ください。また、介護休業は状況に応じて、93 日を限度に3回まで分割取得もできます。あくまでも職場復帰が前提ですので、休業取得時に退職が確定or予定している休業は対象となりません。
介護と仕事の両立が叶わず離職されるケースを耳にします。勤務時間の調整や在宅勤務などの勤務場所について、普段から柔軟に対応できていれば防げたかもしれません。育児に加え、介護もますます大きな課題となっていきます。皆さんの会社は、両立しやすい環境が整っていますか?
睡眠サイクルを活かす
みなさんの必要な睡眠時間はどれくらいでしょうか?睡眠不足は、肥満や脳の老化にもつながると言われています。もし、休日に平日よりも2時間以上多く眠るようであれば、睡眠負債がたまっている状態だそうです。
今回は睡眠サイクルを理解し、より良い眠りのためのヒントを探っていきたいと思います。まず、下図の睡眠サイクルをご覧ください。
入眠から覚醒まで、ノンレム睡眠とレム睡眠が交互にきていますね。注目すべきは、最初の深いノンレム睡眠です。これをしっかりとれるかどうかが快眠のポイントになります。ちなみにノンレム睡眠とレム睡眠の特徴は…
ノンレム睡眠
脳の活動が低下する。大きくステージが1~3に分けられる。普通は、睡眠の最初にやってくる。
レム睡眠
脳の一部は活動しているが、体の筋肉は弛緩しているため動かない。睡眠の後半に割合が増える。
※REM=Rapid Eye Movement 急速眼球運動
スムーズな入眠には入浴が効果的です。体表の体温をわざと上げると、その後に深部体温(直腸で測る体温)の低下をもたらし、眠気がおとずれるのです。そして、快眠の条件を満たす環境を整える。
快眠の条件
①暗いこと
②静かなこと
③快適な温度と湿度を保つこと
それでも寝足りない場合は、昼間に15分~20分程度の仮眠を取り入れてみてはいかがでしょうか。睡眠サイクルで示すノンレム睡眠ステージ2の状態で目が覚めるので、すっきりと目覚めることができます。30分以上はステージ3に入り、不快な状態で目覚めたり疲労感が増すこともあるのでご注意ください。
もちろん適切な睡眠をしっかりとるのがベストですが、どうしても難しいケースはありますよね。日々のちょっとした工夫で、より良い睡眠に少しでも近づけますように。
参考にさせていただいた本は、こちら⇩
Amazon.co.jp: 東京大学の先生伝授 文系のためのめっちゃやさしい 睡眠 : 林 悠: 本
沈黙の危うさ
『沈黙の文化は危険な文化である。』
この言葉にドキッとした方はいませんか?みなさんの職場を思い浮かべると、いかがでしょうか?メンバーからネガティブな報告や相談はないし、従業員満足度アンケートでも気になる結果は出ていないので、特に問題はないとおっしゃる方がいるかもしれません。
しかしながら、時間の経過とともに
→社内のコミュニケーション不足→想定外の退職者→お客様からの不満の声
という悪循環にはまってしまうケースを耳にします。
上司がポジティブな報告しか歓迎していなかったり、業務の成果基準ばかり注目しマネジメントの課題に向き合えていなかったり・・・と、実は足元に問題がちらほら。問題が解決されないまま不満ばかりが積み重なっていき、しだいに発言するより沈黙していた方がいいとメンバーが感じ始めるわけです。
今回は、よくあるズレの一つ「失敗の捉え方」に注目していきましょう。まず、みなさんのチームでの失敗は、以下のどのタイプに当てはまりますか?
【失敗のタイプ】
①回避可能な失敗
行動・スキル・注意の欠如により、プロセスから逸脱し望まない結果が起きる。
②複雑な失敗
慣れた状況に出来事や行動がかつてない特異な組み合わさり方をして望まない結果が起きる。
③賢い失敗
不確実性やリスクを取った試みにより、新たなことを始めて望まない結果が起きる。
本来は「②複雑な失敗」や「③賢い失敗」なのに、「①回避可能な失敗」として扱っていないでしょうか?特に「③賢い失敗」は要注意です。リスクを抱えながら新しいことに果敢にチャレンジした場合、単なるミスとして責任をおしつけられたら、当然モチベーションは下がります。本人だけではなく、それを見ている周りのメンバーもです。
そこで、失敗とは何か?改めて考えてみましょう。
【失敗とは何か】
①失敗に対する考え方
失敗は受容できない。→試みに失敗はつきものである。
②高い業績についての考え方
高い業績を上げる人は失敗しない。→高い業績を上げる人は賢い失敗をし、失敗から学び、その学びを共有する。
③失敗における目標
失敗を回避する。→素早い学習を促進する。
④失敗による影響
保身のために失敗を隠す。→率直に話し合い、素早く学びイノベーションをおこす。
このようにマインドを変化させるためには、リーダーが積極的に失敗を受け入れる環境をつくり・メンバーを巻き込み・生産的かつ意味のある対応を行なわなければなりません。新しい制度を導入すれば即解決につながるわけではないのです。ひたすら地道な努力を続けるしかないのです。
【失敗のタイプ別対応策】
①回避可能な失敗
・トレーニングする
・再トレーニングする
・プロセスを改善する
・システムを再デザインする
・(失敗の繰り返しなど非難されても仕方がない行為があった場合)処罰する
②複雑な失敗
・多角的な失敗分析を行なう
・対処すべきリスク要因を特定する
・システムを改善する
③賢い失敗
・影響をつきとめるための綿密な結果分析を行なう
・新たな仮説を立てるためのブレーンストーミングを行なう
・次のステップまたは追加の試みをデザインする
・失敗を表彰する
働きやすさ&働きがいが求められる今こそ、失敗について率直に話し合える環境かどうか、振り返ってみてはいかがでしょうか。
*参考文献*
試用期間の落とし穴
新しい環境でスタートを切った方、新しいメンバーを迎え入れた方。入社後しばらくは、不安・緊張・ワクワク感など落ち着かないですよね。そんな時に見受けられる職場の誤解についてふれていきます。
1. 試用期間とは
本採用前に人物・能力・勤務態度など社員として適性があるか見極める期間を試用期間といいます。法律に定められている制度ではありませんが、多くの会社が取り入れており、期間は3カ月~6カ月が一般的です。試用期間だからといって、簡単に解雇できるわけではありません。
2. 試用期間中の思わぬ落とし穴
新卒の方や実務経験が浅い方には教育係がついて業務を覚えます。徐々に職場にも慣れ、メンバーの一員として能力を発揮していく姿は周囲にも良い刺激になります。その一方で、あちらこちらから不満の声があがり始めるケースも。
例えば…
<新入社員>
教育係の説明が分かりにくい
ペースが速すぎてついていけない
理解できないまま業務を押し付けられる
誰にも相談しづらい
誰からもフィードバックがないetc…
<教育係>
普段の仕事で忙しい上に急に教育係を丸投げされた
何回説明しても覚えてくれない
理解しているのかしていないのかハッキリしない
教育係の自信がない
誰もフォローしてくれないetc…
<他のメンバー>
チームの雰囲気がピリピリしている
新入社員も教育係もつらそう
自分の仕事に精一杯でフォローできない
どうフォローしていいのか分からない
上司はほったらかしで何もしてくれないetc…
<上司>
キャリアを考えると教育係の経験が必要なのでやりきってほしい
教育係と新入社員の相性がよくないのか
新入社員に何か問題があるのか
相談してこない=問題ない
自分自身が多忙でチーム内に何が起きているか分からないetc…
上記のような穏やかではない場面に遭遇した方もいらっしゃるかもしれません。最初はそういうものだよね!とチームワークで乗り越えられれば良いのですが、残念ながら本採用に至らずトラブルへ発展するケースも存在します。
3.落とし穴の回避策
様々な要因が複雑に絡むため解決策も一つではありませんが、まずは「育成プラン」をつくり、業務も気持ちも共有することから始めてみてはいかがでしょうか?
どんなに良い制度があっても効果的に運用できなければ意味がありません。育成プランをきっかけにチームの課題を明確にし、その時々の組織の状況に合わせたアップデートが必要です。
そして、軽視していけないのは「チームの雰囲気を和やかにしてくれる存在」。雇用形態や立場に関わらず、さりげない細やかな気遣いで支えてくれている方はいませんか?不安な時に声をかけてもらったり、気軽に手を貸してくれるのは心強く安心できますね。単に性格が優しいからで済ませず、きちんと評価にも採り入れたいところです。
副業・兼業する時の労働時間
「労働者が就業時間以外の時間をどのように使うかは基本的に自由である」という考え方が広まり、副業・兼業を認める会社が少しずつ増えてきました。社員として雇用されるケース、業務委託として請負や委任で行うケースなど、スキルアップや多様な働き方を目指す方も多いのではないでしょうか?
今回は、2つの会社で社員として働く際の労働時間についてふれていきます。
社員として雇用される形で副業・兼業を行う時は、原則、会社は自社と副業・兼業先の労働時間を通算して管理する必要があります。社員からの申告により副業・兼業先の労働時間を把握し、残業代を支払ったり残業時間の法定上限を超えていないかなど確認を行なうのです。
また、以前ご紹介した社会保険の取り扱いにも注意が必要になります。現状では雇用による副業・兼業はハードルが高く、業務委託など雇用されない形が採り入れやすいのかもしれません。
今後は、人手不足の解消や社外のプロフェッショナル人材の活用のために副業・兼業者を受け入れる会社が増えてくるのではないでしょうか。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html
実際に副業・兼業を経験された社員側と会社側の状況については、リクルートさんの動向調査が参考になるかと思います。
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2023/0411_12191.html
緊急時の未払賃金立替制度
会社が倒産し給与を支給されないまま退職した場合、未払い給与の一部を政府が会社の代わりに立替える制度があります。対象となる方・対象なる未払い給与・請求できる期間など様々な条件があります。
(立替払ですので、会社の賃金支払義務が免除されるのではありません。立替分は、政府が会社に請求することになります。)
詳しくは、最寄りの労働基準監督署へ!
自己投資コストの一部が返金される制度
今後のキャリアのため、専門的な勉強をしたり資格をとりたいけれど、お金が心配…。そんな悩みをお持ちの方は、いませんか?
今回は、自己投資にかかった費用が一部返金される制度をご紹介します。
雇用保険の教育訓練給付制度です。①専門実践教育訓練、②特定一般教育訓練、③一般教育訓練の3種類があります。もともとの制度内容は、③の一般教育訓練レベルでしたが、中長期のキャリアアップを目指した専門的実践的レベルへ範囲が拡がり、さらに、速やかな再就職や早期のキャリアアップを目指した一般教育訓練のグレードアップ版が登場し、今の形になりました。
雇用保険の加入状況や、この教育訓練給付を過去に受給したことがあるかなど、いくつか条件があります。手続きは、会社経由ではなく、ご自身で直接ハローワークへ申請します。
特に①専門実践教育訓練と②特定一般教育訓練は、受講開始日の1か月前までに訓練前キャリアコンサルティングが必要ですので、スケジュール調整にご注意ください。