通院や入院で支出が増えたときの返金制度

1.どんな制度?

病院へ支払ったお金が高額になったとき、年齢や所得に応じた一定基準額を超えると、超えた分が後で払い戻される健康保険の制度です。

かかった費用を以下のように細かく分けていき、それぞれのカテゴリー別に金額を合計していきます。そして、その金額が一定基準額を超えるかどうかチェックします。


STEP1▶人ごとに分ける

STEP2▶月(1日~末日)ごとに分ける

STEP3▶医療機関ごとに分ける

STEP4▶医科or歯科で分ける

STEP5▶入院or外来で分ける

STEP6▶分けたカテゴリー別に合計額を計算する

STEP7▶STEP6の各合計額が一定基準額を超えるかチェックする


2.支払ったお金は、いくら戻ってくる?

一定基準額は、「自己負担限度額」といいます。70歳未満と70歳以上75歳未満で計算式が異なります。(75歳以上は、後期高齢者医療制度という別のしくみなので除きます。)

70歳未満の方は、下表の所得区分に応じた計算式を使い「自己負担限度額」を計算します。
 ※1「総医療費」=病院に支払った3割分+健康保険の給付7割分

(協会けんぽのホームページより)

所得区分がどれに該当するか不明な場合は、会社に健康保険の標準報酬月額を確認するのがいいのですが、ざっくり目安程度に知りたい方は、最新の給与明細から調べることもできます。

給与明細の健康保険料の金額と「保険料額表」の折半額が一致するところを探します。(保険料額表は、加入している協会けんぽ健康保険組合のホームページで最新分をご確認ください。)そのまま同じラインの左側に移動していくと、標準報酬月額が載っています。


3.世帯合算できる特例

同一人・同一月・同一医療機関のように細かくカテゴリー別に分けると、金額が低くなり自己負担限度額を超えないケースが出てきます。そこで、70歳未満の方はカテゴリー別の金額が1ヶ月21,000円以上のとき、合算した金額で自己負担限度額を超えるかどうか計算できます。ご本人に限らず、扶養家族の方の分も合算できます。


4. 自己負担限度額が軽減される特例

通院や入院が長引くことがあるかと思います。同一世帯で、払い戻しを受ける月数が直近12ヶ月の間に3回以上になったとき、4回目からの自己負担限度額が引き下げられます。上記2.の計算式の表の右側、「多数該当」が引き下げられた限度額です。


5. 事前に高額な支払いになるとわかっているときは?

特に入院の予定など事前に高額な医療費の支払いが予想される場合は、手続きについて課題が残ります。

①該当の都度、申請が必要(自己申告する必要がある)
②払い戻しがあるとはいえ、一時的に大きな出費が必要
③払い戻しまで時間がかかる(診療月から早くても3~4か月後)

そこで、「限度額適用認定証」と健康保険証を併せて病院の窓口に提示すると、1か月(1日から月末)の支払いが自己負担限度額までとなり、高額療養費の申請が不要になる制度があります。

ただし、世帯合算や多数該当の特例を利用するとき、複数の病院を受診されているときは、別途、高額療養費の申請も必要になることがあるので注意しましょう。


健康保険組合によっては、自己負担限度額が低くなったり、オリジナルの追加給付が受けられたりします。ぜひ、加入されている健康保険組合のホームページもご確認ください。