HRテクノロジーを活用するために

人事の分野にも、採用マッチング・人事評価・メンタルヘルスケア・離職予測などテクノロジーを活用した様々なサービスが増えてきました。すでにシステムを導入された方は、効果的に活用されていますでしょうか?

以前、採用応募者の適性検査(能力+性格)システムを利用したものの、データの理解や検証が不十分で入社者のマネジメントに活用できなかった経験があります。その反省から、人のバイアスやデータの使い方を学ぶべく「脳科学」「統計学」の本を読み漁るようになりました。今回は、入門編として、こちらの本からの学びをご紹介します。

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1.絶対計算とは

大量データの解析に基づく分析が絶対計算(統計分析)。一見全く関係なさそうな2つの要素の相関関係を計算することで、意外な事実を見いだせます。たとえば、ワインの品質(市場価格)において専門家の経験や直感より、生産地の気候条件との相関を分析する絶対計算の予測が適切だったとか。

2.データの使い方

絶対計算の方法には、大量のデータを使う方法(回帰分析)とリアルタイムにランダムにデータを使う方法(無作為抽出)に分けられます。


【大量のデータを使う方法】

・アマゾンの「この本を買った人は…」紹介

・出会い系お見合いサイトで相性の高い相手を紹介

マイレージサービスで他社に行きそうな客を検出

【リアルタイムにランダムにデータを使う方法】
・ローン会社が新規融資募集方法を検討する際、融資金利を下げるor微笑む女性の写真をDMにつけるのではどちらが有効かを調査

・クリック率の高いウェブサイトやタイトルをどちらがいいかを調査


3.絶対計算のメリットとデメリット

絶対計算のメリットは、人は感情や先入観に左右される専門家より優秀であること。


最高裁の判事達の判決予測
・企業の購買担当による業者の評価
・犯罪者の再犯リスク診断

デメリットは、使い方しだいでは誤った結果が出てしまうため、検証や監査できるシステムが併せて必要になること。


・個人データが政府や企業に計算・利用されつくす可能性があるのでは?
・各種差別が姿を変えた形で現れるのでは?
・顔面認識ソフトで氏名や住所まで特定されたら、プライバシーはますますなくなるのでは?

4.統計や数学の知識は必須

専門家vs.絶対計算の二項対立ではなく、それぞれのメリット・デメリットを状況に合わせて組み合わせることがポイント。つまり、統計や数学の知識を身につけ、自分の経験と直感と行ったり来たりしながら分析する力が求められているのですね。

自分の専門に軸足を置きながら、これから何処へどのように道を開拓していくか「自分の地図」を作るイメージでさらに学びを深めていきたいと思います。